調布(東京):映画好きが見ておきたい “映画のまち”

映画が庶民にとっての最大の娯楽だった時代に比べれば、日本の映画産業は衰退の途をたどっていると言われます。しかし、一時期と比べると数は減ったとはいえ、映像関連企業が多く集まり、“映画のまち”をかかげて街づくりに取り組んでいるのが東京の調布市です。

昭和30年代の全盛期には「東洋のハリウッド」と呼ばれるほど映画産業で賑わった調布市は、今でも映画をつくり、映画文化を大切に育てています。

この記事は、世代に関わらず、映画が好きな人、調布での観光に関心のある人へ向けて書かれています。

生まれかわった“映画のまち”

調布市は東京都のほぼ中央、多摩地区の南東部に位置します。東京23区の外ですが、新宿から京王線の特急で「調布駅」まで約15~20分。都心へのアクセスが良い場所です。

一方で、多摩川や武蔵野の自然がよく残り、映画撮影に好条件な場所だったことから、たとえば、角川大映スタジオ、日活調布撮影所をはじめ、高津装飾美術、東映ラボ・テック、東京現像所など、40以上もの映画・映像関連企業が調布に集積しています。

そのきっかけとなったのは、昭和9年(1933年)に、日本映画株式会社が京王電気軌道多摩川原駅(現在の京王多摩川駅)前に開設した多摩川撮影所でした。撮影所がこの地に作られた理由は、後に調布市長となり、「カツドウヤ市長」と呼ばれた本多嘉一郎の回想によると、「時代劇・現代劇どちらの撮影にもふさわしい自然環境やフィルムの現像に欠かせない良質な地下水があった。」とのことです。
(引用元:調布観光ナビ

駅前の再開発に区切りがつき、2017年秋にリニューアルした調布駅の周辺。鉄道(京王線)は地上から地下化しました。

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訪問前に入手しておくと便利な「調布市観光マップ」

調布を歩く際に便利なグッズを一つご紹介。

調布と周辺をもうらした地図が見やすく、テーマに沿った訪問コースが紹介され、とても有用な地図です。

京王線「調布駅」前の南口広場にある調布市観光案内所「ぬくもりステーション(土日祝日の9時~16時のみオープン)」または調布市役所で、入手可能です。

また、下記の「調布観光ナビ」のサイトからも、地図をダウンロードすることもできます。
https://csa.gr.jp/contents/1887(出典:調布観光ナビ)

2019年には「調布シネマフェスティバル」が開催

2019年2月16日(土)~3月10日(日)まで「調布シネマフェスティバル」が約1か月にわたり開催予定です。

これは過去28年間続いてきた「調布映画祭」を引き継ぎつつ、あらたな試みを加え、街ぐるみで盛り上げようとしている祭典です。

ゲストトーク付きの映画上映会、市内の映画関連企業(角川大映スタジオ、日活調布撮影所、高津装飾美術株式会社等)と連携して、映画・映像関連の展示、ワークショップ等が開催されます。

ユニークなのが、全国初の試み「市民×映画技術者」両者の投票で選考する「映画のまち調布賞」でしょう。

2017年10月1日から2018年9月30日までに、国内の映画館(商業映画劇場)で、有料で初公開された日本映画の中から投票によって決定されます。(選考対象作品

投票期間は2018年10月14日(日)まで。調布市内在住・在勤・在学の方以外にも、調布のシネマコンプレックスへの来場者も会場で投票ができます。

映画好きな人にとっては、楽しみの尽きないイベントになることを期待しています。

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▲2017年秋にオープンしたシネマコンプレックス「シアタス調布」の入口

映画ゆかりのモニュメント

調布駅構内

駅に降りて、まず目に飛び込んでくるのは、駅構内の内装です。『映画のまち』と謳っているとおり、映画にかかわるものが、駅のデコレーションにたくさん散りばめられています。

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▲行き先案内の表示にも映画の撮影機材(カメラ)やフィルムのデザイン。近年、映像撮影もフィルムからデジタル化し、現在はほとんどがデジタル製作でしょう。ここでは、長い間、日本の映画を長年支えていた「昔ながらのフィルム撮影機材」の歴史も大切にされています。

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▲柱、改札前の案内板などの内装はフィルムをアレンジしたデザイン。フィルムの懐かしい感じも若い世代とっては「何?この模様?フィルムって何?」という時代が来つつあります。

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▲券売機の下もフィルムをアレンジした模様。フィルムの模様を現代的にアレンジしつつ、独自のデザインに仕上げているところに「進化」を感じさせます。

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▲広告の間の映画『大魔神』や『ガメラ』の図柄。 古い映画ですが、昭和生まれ世代は、知っているのでないでしょうか?

これらは、2つとも、調布駅から徒歩で約15分ほどの場所にある角川大映スタジオ(角川大映撮影所)で製作された映画作品です。

▲日活スターの手型モニュメント。日活調布撮影所で活躍した俳優60名と監督4人に協力いただき、制作したという。往年の名スターの手型がそろっています。

調布駅周辺(地上)

▼改札を出で、地上に出たロータリーには、映画の撮影所や関連施設をまとめた映画マップがあります。

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▼ここにも!

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▼シネマコンプレックスのシアタス調布が入っているビル(トリエ京王調布C館)

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以前から映画のまちでありながら、実は調布には、最近まで映画館がありませんでした。しかし2017年秋、調布駅から徒歩2~3分の場所に、シネコンプレックス「シアタス調布」ができました。

シネコンの中には11の映画館(スクリーン)がありますが、特筆すべきは4DXシアター(一部のみ)。シーンに合わせて座席が動いて振動したり、鑑賞中に風や水、香りなどが出てくる、体感型アトラクションシアター4DXです。

映画が「鑑賞」するものから「体験」するものに変えると言われる、次世代型の映画館です。

角川大映スタジオ周辺(調布・映画発祥の地)

京王線調布駅から徒歩で約15分。京王多摩川駅(京王相模原線)からは徒歩3分。

まさに昭和の映画黄金時代の名残りを感じさせる、懐かしい場所です。

角川大映スタジオで製作された作品と言えば、懐かしいところでは『セーラー服と機関銃(薬師丸弘子/1981年)』や『沈まぬ太陽 (山崎豊子原作、渡辺謙主演/2009年)』など。

最近では、山﨑賢人、広瀬アリス主演の『氷菓(2017年)』、Hey!Say!JUMP山田涼介主演の『ナミヤ雑貨店の奇蹟』などがあります。

ドラマでは、上戸彩主演『昼顔』も角川製作でしたね。

▲角川大映スタジオの周辺。調布と映画の係わりを記念して建てられた碑が近くの公園にあります。

「映画俳優の碑」と「調布映画発祥の碑」が角川大映スタジオ前のマンションに囲まれた児童公園の中に建っています。

「映画俳優の碑」は日本映画俳優協会が創立35周年を記念して建てた3つの碑の一つです。往年の俳優の名前が刻まれています。

その隣の「その生涯を映画に生く」と森繁久彌の筆で記され碑には、三船敏郎、石原裕次郎、勝新太郎、高倉健、吉永小百合等、戦後の日本映画の黄金時代から現在まで活躍している多くの俳優の名が刻まれています。

かつての撮影所はかなり広く、この公園も撮影所の敷地の一部でした。目立たない場所ですが、まさにここは「調布と映画の係わりの発祥地」です。

「調布映画発祥の碑」は、平成5年(1993年)、調布における映画産業の歴史を記念し、今後の振興を図る目的で調布市映像まつり実行委員会が建てたものです。(情報参照元:市民の手による まちの資料情報館

説明書きにはこのように書かれています。

水と緑と済んだ空気、これは映画産業に欠かすことのできない条件です。昭和八年一月、調布市多摩川のこの地が最適地に選ばれ、日本映画株式会社が設立され、多摩川スタジオが完成しました。以来、昭和三十年前後には三つの撮影所、二つの現像所と美術装飾会社を擁し、調布は映画の街「東洋のハリウッド」と謳われました。
しかし、時代の変遷にともない、映画産業はいささかの後退を余儀なくされましたが、その独創性や娯楽性には依然として大きな期待をかけられております。

引用元:調布市映像まつり実行委員会「調布・映画発祥の碑」より

角川大映スタジオ

さて、こちらは角川大映スタジオ。この場所を有名にしているのは、映画『大魔神』です。と言っても、ほとんどの人は『大魔神』がどんな映画、ストーリーだったかをご存じでないかもしれません。

なんせ、古いですから(笑)(1966年公開)

スタジオの入口で、大魔神(だいまじん)と武神(ぶじん)の像が出迎えてくれます。

ちなみに、『大魔神』のストーリーを大ざっぱに言えば、「江戸時代に殿様や奉行たち(悪人)が村人に悪事をはたらき、やりたい放題。そして、魔神として崇められていた武神ですらもぞんざいに扱ったことから、神の怒りをかって反撃される。」といったところでしょうか。

つまり、大魔神に変身する前の穏やかな姿が「武神」。

埴輪のようおに温和な外見の武神が破壊された結果、時間をおいて姿をかえ、怒りをもって悪人たちを退治するために出現したのが「大魔神」です。

そのため、大魔神の顔は怒りに満ちています。

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▲元祖・角川映画『大魔神』のデジタル・リマスター版DVD。

▲▼怒り心頭の大魔神ですが、よく見ると、コミカルな感じにも見えてきます(笑)

▼こちらはスタジオの敷地内を塀の外からの写真。原則、内部見学ツアーなどは行っていないようです。

『ガメラ』もここで撮影されました。ガメラも、昭和世代でないと、わからないかもしれません。

最後に。スタジオのアンテナショップ「MAJIN」。映画ゆかりの文房具やお菓子、Tシャツなどが販売されています。

営業は平日10:00〜17:00のみです。土日祝日は定休日で入れませんので、ご注意です。

▼アンテナショップ「MAJIN」の外観。

アクセス(調布駅~大映スタジオ)

角川大映スタジオ
〒182-0025 東京都調布市多摩川6-1-1
車:中央高速調布インター調布(新宿)方面出口より約10分。
電車:調布駅からは徒歩15分。京王相模原線・京王多摩川駅下車、徒歩2分。
タクシー:京王線調布駅より約3分。