夏休みといえば、自由研究。
特に小学生のお子さんは、毎年どんなものを作るか悩ましいですが、昆虫の標本づくりは工作の楽しさを体験し、親子の良い思い出づくりとしてもお勧めできます。
早速ご紹介します。
カブトムシの標本づくり:親子の一生の思い出
夏休みの定番の一つに、カブトムシやクワガタなどの採集があります。
これらの寿命は短く、やがて夏の終わりを迎える頃、次々と往生してゆきます。
そして、その遺骸の取り扱いに迷うところです。
自然に帰してあげるのも良いですが、標本づくりに挑戦することは子供の教育上も、親子のイベントとしてもたいへんおすすめです。
また、子どもの夏の自由研究にうってつけです。
昆虫の標本は市販のセットも販売されていますが、学校によっては「市販品での工作は不可」としている学校もあるようです。
こちらの写真↑の標本は、箱づくりに1~2時間。
木材をノコギリで切るところなどは親がサポートをしていますが、材料購入などの準備作業をふくめ、即席ではありますが、1日で完成できました。
本格的でありませんが、自家製のオリジナル標本を手作りすることで、市販品とは一味ちがった工作の楽しさを味わえます。
子どもの一生の記憶に残る、親子協働の良い思い出づくりになるのでないでしょうか。
かぶとむし標本の作り方 5つのステップ
標本づくりの大まかな流れは、下記の4つのステップになります。
- 標本箱の作成(虫を設置できる状態にまで)
- 固くなった虫をほぐす(特に手足の部分)
- 昆虫針を刺して固定する
- 仕上げ(虫の見た目の形を整える、蓋をする)
かぶと虫標本のステップ①:標本箱づくりに必要な用具や組み立て
こちらは、縦17cm×横25cm×高さ6cmくらいのサイズのカブトムシ標本が例です。
標本づくりに必要な準備は、ざっと以下のようなところです。
ふたに利用した透明のプラバンなどは、ホームセンターで売っている透明なアクリル板などでも代用できると思います。
- 木材板(底板用、側面用)
- マット用の工作用スチレンボード(発泡スチロール)
- 透明プラバン(ふた用)
- 昆虫用のピン(針)
- ピンセット
- 木工用ボンド
- のこぎり
木材板2枚(底板用、側面用)
サイズや木材の種類や色は、お好みです。
今回は以下のサイズを近所のホームセンターで購入しました。
底板用に「縦15cm×横91cm×厚0.9cm」
側面用に「縦6cm×横91cm×厚0.9cm」
エゾ松工作材を1枚ずつ、合計2枚
下の写真は使用後のため、サイズが上記と異なりますが、イメージです。
マット用の工作用スチレンボード(発泡スチロール)
サイズに合わせた大きさのもの(厚さは0.5cm程度)
同じくホームセンターでスチレンボード(発泡ポリスチレンパネル)を購入しましたが、その他の発泡スチロールで代用できると思います。
マットの厚さ、面積、色は何種類かあるので、標本サイズや好みで選ぶのがよいと思います。
筆者は0.5cmでもピンでしっかり固定できましたが、もう少し厚くても良いかもしれません。
透明プラバン(ふた用)
ガラスだと割れる心配があるため、文房具店で売っている「工作用のプラスチック板」を蓋に使用しました。
カッターなどで、必要なサイズに切ることができます。
ホームセンターなどで売っているアクリル板でも代用可能だと思いますが、分厚くて丈夫なものが多いので、切るのがたいへんかもしれません。
工作用のプラスチックは薄くて切りやすいという利点があります。プラ板は他の素材と比べると一長一短はあると思いますが、プラ板の良い点は手軽なことです。
昆虫用のピン(針)、ピンセット
おそらくカブトムシの標本づくりの最重要ポイントはこのピンの入手かと思います。
他の素材は近所のホームセンターや文房具店でも売られていますが、ピンは昆虫専門のペットショップでないかぎり、ネット通販での入手になるかもしれません。
昆虫の硬度により、太さがいろいろありますが、一般的な国産カブトムシでは「サイズ №3」くらいがちょうどよいと言われています。
(蝶々などはもう少し細めのものが良いと、昆虫ショップの店員さんが言っていました)
ピンセット:昆虫ピン(針)を刺して固定する際、以下のようにして使えます。
おそらく、この昆虫ピン(INSECT PIN)が一番近所で入手しずらいグッズかと思います。
ピンの太さが何種類かありますが、カブト虫なら3号くらいが標準的。
木工用ボンド、のこぎり
木工用ボンド:箱の木や蓋を張り付けるため。
のこぎり:板の購入時にホームセンターで必要なサイズに切ってもらえば不要。
まずは、木箱をつくり、その中にマットを敷くところまで進めます。
蓋を閉めて接着するのは、昆虫を固定した後です。
カブト虫標本のステップ②:固くなった虫をほぐす
4つのステップの中で、標本づくりの初心者が、比較的手こずりやすいのがこの部分かと思います。
カブトムシは、生きているときは悠々と伸ばしていた手足をお腹の抱え込むような形で往生し、2~3日もすれば、乾燥して固くなり、手足を広げることができなくなってきます。
亡くなって1週間ほどたっていると、下の写真のような体勢でカチンコチンに固くなっています。体の内側に縮こまった手足を固い状態で無理やり広げようとすると、手足を破損してしまいます。
◆固まった虫をほぐす手順
まずは昆虫を洗います。体に付いている汚れを水洗いで流します。
使わなくなった歯ブラシなど、柔らかめのブラシを使うと、さらにきれいになります。
汚れを落としたら次に50~60度のお湯に30分~1時間程度、浸します。
直接、お湯につける方法以外にも、ティッシュや布でくるんで、50~60度のお湯を含ませて、タッパーのようなもので、温度が持続させる方法もあります。
その際、熱すぎる湯に浸さないようご注意ください。
(眼が白くなってしまうそうです)
昆虫の乾燥具合で柔らかくなるまでの時間が変わってきます。
ころ合いを見計らい、虫を取り出して、手足を広げられるかチェックしてみましょう。
柔らかくなる前に無理に広げると、手足を破損してしまう(関節で切れてしまう)可能性があります。
ステップ③:昆虫針で標本箱のマットに固定
昆虫がやわらかくなったらティッシュで水気をふきとり、手足全体を広げるようにして標本の上に置きます。
最初の1本目の昆虫針は、体の中央部、真ん中よりやや右から下に向けて垂直に刺します。
真ん中だと背中の羽が開いてしまったり、形が崩れてしまうためです。
昆虫の体の中央部は一番硬い部分ですが、1匹やってみれば、子どもでもすぐ慣れるのでないかと思います。
体の中央部を固定できたら、次は手足です。
上は小学生(当時2年生)によるもの。針を何度か刺しなおした穴が地面に残る。
下はプロ(福島県のムシムシランド)による標本。
少ない本数で美しく固定できていて、体を柔らかくするところから違いが出ていると想像できます。
ステップ④:仕上げ
虫の見た目をなるべく美しく整えるよう努めたあとは、木工用ボンドで蓋を接着して完成です。
白くはみ出た木工用ボンドも、乾くと透明になり、目立ちません。
今回、はじめての標本づくり挑戦でしたが、かなり自己流、自家製なカブトムシの標本。
この方法が最適、最善の「正解」というわけではないかもしれませんが、楽しい経験になりました。
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